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Tradition

There are two categories of works
that articulate bamboo in the practice of
fourth-generation Tanabe Chiku'unsai.

四代田辺竹雲斎
CHIKUUNSAI IV
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竹芸術への入り口としてのニューヨーク・メトロポリタン美術館

Essay 竹芸術への入り口としてのニューヨーク・メトロポリタン美術館

モニカ・ビンチク メトロポリタン美術館 日本工芸担当学芸員

2017年6月、『日本の竹芸術―アビー・コレクション―』展がメトロポリタン美術館で開館した。四代田辺竹雲斎による巨大なインスタレーションは同展の注目作品のひとつだ。《The Gate》と題されたその作品は、日本美術ギャラリーのエントランスにおいて、観客を日本の竹芸術の世界にいざなうという役割を担った。fig.1

ニューヨーク・タイムズ紙掲載のレビューで同紙の美術評論家ロベルタ・スミスは以下のようにこの展覧会を評している。

「あなたは現代的な視点を見逃さないだろう。メトロポリタン美術館は四代田辺竹雲斎(1973年生まれ。竹アーティスト一家の四代目)に会場の入り口に設置されたインスタレーションの制作を依頼した。《The Gate》はその名の通り門のように、2つの絡み合う太いコイルが床から上向きにねじれながら天井に広がっている。堂々たる大きさのそれは、双子の竜巻のようであり、より穏やかな例を挙げれば、二股のガジュマルの老木の幹を想起させるとも言えるだろう。荒く編まれた明るい色の虎竹は、間隔をあけて編まれ重さを感じさせない。この作品のカタチはアニメ化されたマンガがもつような力や元気さをそなえ、まさに最高と評する事ができるほどの躍動感がある。本展覧会に共通していることは、竹籠が抽象化され、脱構築されていることだ。それが、何代も続くアーティストの手によって探求され続けてきたことなのであろう。三代田辺竹雲斎の弟である田辺陽太(1944-2008)による1975年作の《子供たちに捧げる土》。この低い山、もしくは火山のような作品のカタチはミニチュアのアース・ワークのようであり、またジェームス・タレルの《Roden Crater》のモデルであるかのようだ。」

ダイナミックな芸術家が生む―竹:日本のスタイル―
ロベルタ・スミス『ニューヨーク・タイムズ』2017年8月3日

2017年は四代田辺竹雲斎という若手アーティストが、田辺家の伝統を継承することを意味する竹雲斎という名を正式に受け継いだ特別な年である。これは、ダイアン・アンド・アーサー・アビー夫妻が70点を超える竹籠と現代の竹芸術作品をメトロポリタン美術館に寄贈するという素晴らしい出来事と同時期に起こった。だからこそ田辺を招待し、同館で初の竹芸術の展覧会のエントランスに《The Gate》の制作を依頼したのは理にかなったアイデアだ。私は、ギャラリーに入るという行為によって竹林を通り過ぎるという感覚を伝えたかった。そして、若い世代が新しい表現を模索し、この分野の境界を広げ続けていることにより、日本の竹芸術が今も生きていることを証明しようとした。田辺は才能豊かな2人の女性の弟子の助けを借り、6日間をかけて作品を完成させた。インスタレーション制作の過程は美しく振付され準備されたパフォーマンスのようだ。(記録した制作風景はメトロポリタン美術館のウェブサイトで公開されている。)2つの絡まりあった有機的なカタチをもつ「枝」もしくは「トンネル」、「天井」からぶら下がった複雑なその構造物は、43万人を超えるニューヨークの来場者を魅了した。田辺が《The Gate》を解体した2018年2月には、館の警備員達が、もう作品を見れなくなることが本当に残念だと私に伝えてくれた。これは真の意味において作品が評価されていたことを表す出来事と言えるだろう。そして、作品に使用された美しく希少な虎竹のひごは、また他の作品に再利用されるのである。

『日本の竹芸術』展に展示された作品は90点あまり。竹籠が「手工芸」から芸術の一分野として認知されるまでの、19世紀後半から現代に焦点を当てた。この種類の芸術のターニングポイントとして重要とされる時代だからだ。展覧会は3つのセクションに分け、それぞれで竹芸術の主要な生産地(関西、関東、九州)の作品を展示している。関西のセクションでは伝統的な唐物籠に焦点を当て、田辺家の歴史を表す14点の作品が展示された。そこには初代田辺竹雲斎(1877-1937)、その師匠の和田和一斎(1851-1901)そして、田辺陽太(1944-2008)を含む田辺家の歴代の作品が含まれていた。fig.2

四代田辺竹雲斎は彼の世代において最も才能に恵まれるとともに、多才な竹作家のひとりに数えられている。父が他界した後、彼は田辺家の伝統を受け継ぐこととなったが、同時に漆と竹との融合の試みや、有機的で象徴的なインスタレーションの制作も手掛けてきた。大型のインスタレーションは、ヨーロッパやアメリカ、最近ではサンパウロのジャパン・ハウスやアジアなど世界各地で発表された。そして、2015年の日本伝統工芸近畿賞など(受賞作はメトロポリタン美術館でも展示された《舟形花籃 出帆》である)数多くの賞を受賞している。fig.3

ダイアン・アンド・アーサー・アビー・コレクションの特徴は多くの著名な竹作家の作品を幅広く含んでおり、日本政府が指定したすべての「重要無形文化財保持者(人間国宝)」の作品も例外ではない。アビー・コレクションはメトロポリタン美術館に既に寄贈されているエドワード・C・ムーア(1827-1891)のコレクションと肩を並べることになる。ムーアはティファニーのチーフ・デザイナーとして知られ、1891年に80点の竹籠だけではなく、日本の染織、陶磁器、金工の作品を寄贈した。アビー夫妻は1999年に日本の竹芸術の収集を始めた。それは、ニューヨークのアジア・ソサエティーで開催されたロイド・コッツェン・コレクション展に触発されたことがきっかけだった。当初は既に彼らが所有していたポスト・ウォー・アートのコレクションに数点の特別な竹作品を加えたいという控えめな目的をもって始まった。少しの予定であったはずが、すぐにその数が増えてしまった理由は、アビー夫妻が日本の竹芸術という高尚な世界に没頭し、熱心なコレクターとなったからである。メトロポリタン美術館へ寄贈を約束されたアビー夫妻のコレクションには、初代から四代の田辺竹雲斎の作品が含まれている。このように増え続ける西洋のコレクターや美術館・博物館による日本の竹芸術への評価の高まりは、古代から続く竹芸術の伝統をつなぐ若いアーティストを勇気づける役割を果たすものになるのだろう。